Side T SS

【覚】2011.10.17

馬鹿っ

声が耳に届いても、今さら後には引けなかった
降り注ぐような無数の太刀筋をかわしきれずに全身に痛みが走る

あーこりゃ、だめだー

頭に浮かぶのはそんな諦めの言葉
いきなり背中に何かがぶつかって我に返った

ぼさっとするな!死ぬぞ!!

背中の後ろから声が聞こえて、それが人だと理解した
おもちゃとまではいかないまでも作り物の剣で人が死ぬかよ
突っ込む気力も痛みに奪われる

星だけ護れ!

その声と同時に背中にあった熱が消えた
女子の悲鳴に近い声
次々と鳴り響くブザー
入学当時から5人抜きの速さは本物だったらしい

アイツ、やるじゃん

あちこちあざだらけになったけれど、幸い星は落ちなかったらしい
剣を構え直すと、短く深呼吸した